「メルカリで不用品を売るだけなのに、法律を守らないと逮捕されるって本当?」
古物商許可までは自力でとれたけれど、「このやり方で本当に大丈夫なんだろうか……?」と落ち着かない日はありませんか?
「本人確認って、どこまでやればいいの?」
「台帳を書き忘れたら、いきなり罰金になったりしない?」
「このまま続けていて、ある日いきなり警察が来たりしない?」
そんなモヤモヤを抱えたまま、気づけば不安な時間が過ぎていく声は少なくありません。
そこでこの記事では、2025年10月の変更点も加えて、「まずはこれだけ押さえておく」というラインに絞って、古物営業法の目的と古物商が守るべき5つの義務・主な罰則を分かりやすく整理していきます。
この記事で分かること
・古物営業法の目的と基本的なルール
・古物商が守るべき主な義務
・違反したときの罰則
・2025年10月の一部改正の内容
・古物営業法のルールを守るコツ
「古物営業法で自分が何を守ればいいのか」がひと通り分かります。古物商の5つの義務と罰則、2025年10月改正のポイント、そして毎日の運用で“どこまでやれば安心か”が具体的にイメージできるようになります。
そもそも古物営業法ってどんな法律?
古物営業法の目的
古物営業法はひと言でいうと、「盗品が中古市場に流れるのを防ぎ、犯罪の早期発見を助けるための法律」です。具体的には、こんな目的があります。
- 盗品が市場に流れるのを防ぐ
- 警察が盗品の行き先を追いやすくする
- 消費者を悪質な古物商から守る
「中古品を売買するだけなのに、なんでこんなに厳しいの?」と感じるかもしれませんが、窃盗事件で盗まれた品物の一部が、中古市場を経由してしまう現実があります。
だからこそ、
・誰から買ったのか(本人確認)
・どんな物を、いつ、いくらで取引したのか(台帳)
をちゃんと残しておいてね、というのが古物営業法の基本的な考え方です。
参考:
古物営業法 第1条(目的)
愛知県警察「古物営業法の解説」
法律が変わってきた背景
古物営業法は1949年(昭和24年)に制定され、その後も何度か改正されています。近年の大きなポイントは、インターネット取引への対応強化です。
- ネットオークション・フリマアプリの普及
- 本人確認方法の多様化(オンライン、eKYCなど)
- 罰則の見直し・強化
昔のように、「台帳はあってもなくても…」という雰囲気ではなく、警察側のシステムも進化し、データ照合がかなりシビアになっているのが今の時代です。
参考:
神奈川県警察「古物営業法の一部改正について」
警視庁「非対面取引における確認の方法」
古物商が守るべき「5つの義務」
古物商として押さえておくべき義務は、大きくこの5つです。
- 本人確認の義務
- 古物台帳(取引記録)の作成義務
- 不正品(盗品の疑い)の申告義務
- 標識(プレート)の掲示義務
- 営業所・代表者等の届出義務
ひとつずつ、「どこまでやればいいのか」という感覚が掴めるように見ていきましょう。
義務1:本人確認義務 ─ 誰から買ったのかをちゃんと記録する
まずは、「誰から買ったのかを確認する義務」です。
基本の考え方
- 対面取引:運転免許証・マイナンバーカードなどの原本を確認
- オンライン取引:本人確認書類の画像+転送不要郵便、eKYCなど
「顔と名前が一致しているか」「本人確認書類が正しいか」を、“あとから説明できるレベル”で確認しておくことが大事です。
本人確認が必須となる代表的なケース
- 一定金額以上の買取
- オートバイなど、特定の品目(地域で運用差あり)
- 盗品の疑いがある場合(金額に関係なく)
「少額だからいいか」と自己判断してしまうと、あとからトラブルになるリスクが上がります。
参考:
古物営業法 第15条(確認等)
警視庁「非対面取引における確認の方法」
義務2:取引記録(古物台帳)の作成義務 ─ 「いつ・誰から・何を・いくらで」
次に、いわゆる古物台帳の義務です。
記録する主な内容
- 取引年月日
- 古物の品目・数量
- 特徴(ブランド名・型番・色・傷や汚れの有無など)
- 相手の住所・氏名・年齢・職業
- 本人確認の方法(免許証番号など)
記録の方法と保管期間
- 紙の台帳でもOK
- Excelや専用ソフトでもOK
- 3年間の保管義務あり
「形式」よりも、あとから見たときに取引の中身が追えるかどうかが重要です。
義務3:不正品の申告義務 ─ 「怪しい」と思ったら警察に相談を
3つ目は、盗品と疑われる品物を扱ったときの申告義務です。
申告のタイミング
- 買取後、できるだけ速やかに(目安:当日〜翌日)
- 「絶対に盗品」と確定していなくても、「ちょっとおかしい」と感じたら相談
たとえばこんなケースは要注意
- 相場より極端に安い価格で売りたがる
- 本人確認を嫌がる・ごまかそうとする
- 新品同様の高額品を大量に持ち込む
- 傷や汚れをやたら隠したがる
「ラッキー!安く仕入れられた」と思う前に、「なぜこんな条件なのか?」と一度立ち止まることが、自分を守ることにも繋がります。
参考:
古物営業法 第19条(疑わしい物品の届出)
神奈川県警察「貴金属等の売買を行う古物商及び質屋の皆さんへ」
義務4:標識の掲示義務 ─ プレートの掲示
営業所には、古物商の標識(プレート)を見やすい場所に掲示する義務があります。
- 許可番号
- 氏名(または商号・名称)
- 管轄公安委員会名 など
入口付近やカウンター周りなど、お客様や警察が来たときにすぐ分かる場所に掲げておきましょう。なお、標識の様式や掲示位置は各都道府県警(公安委員会)の案内に従います。
参考:古物営業法第14条
義務5:営業所・代表者などの届出義務 ─ 変わったら期日内に届出を
最後は、「古物商許可証を取ったあと」に関係する義務です。古物商許可証をとったあとに、次のような変更があった場合には、所在地を管轄する警察署に届出が必要です。
届出が必要になる代表例:
- 営業所の移転(場所が変わる)
- 営業所の追加
- 取り扱う古物の区分を変更する
- 代表者・管理者が変わる
届出の期日は、変更内容によって異なります。「場所も人も変わったけど、届出していない」という状態は、行政処分のリスクが高くなるため要注意です。
参考:
古物営業法 第7条の2(変更の届出)
警視庁「書換申請・変更届出」
2025年10月からの新ルール|1万円未満でも本人確認が必要な品目の追加
ここで、最近変わったポイントをひとつ押さえておきます。
古物商は、通常「総額1万円未満の買取」であれば、本人確認や台帳記載が免除されるケースがあります。
一方、令和7年(2025年)10月1日の施行規則改正により、1万円未満の取引でも、必ず本人確認と台帳記載が必要な品目がいくつか追加されました。
追加された対象物品(1万円未満でも確認義務あり)
警視庁の解説によると、以下の品目が新たに追加されています。

エアコンディショナーの室外ユニット(いわゆる「室外機」)および、電気温水機器のヒートポンプ
※画像は「室外機」。電気温水機器のヒートポンプも形状は室外機に非常に似ている。

電線
電線の素材は問わない。家庭用の電線(延長コード、充電ケーブルなど)は対象外。

グレーチング(金属製のもののみ)
主に側溝のふたなどの格子状のもの。コンクリート製のものは対象外。
これらは、盗難被害が多く、スクラップや資材として売却されやすい品目です。
そのため、金額が1万円未満であっても、「誰から買ったか」を必ず追えるようにしておいてくださいというルールが追加されています。
「3,000円で引き取っただけだから大丈夫」と金額で判断しないよう注意が必要です。
実務上どう変わるのか?
- 金額に関わらず、上記の品目は毎回本人確認+台帳記載が必要
- 買取金額が少額でも、「相手方の確認義務の対象」に含まれる
とくに、リサイクルショップ・工具・建材・金属スクラップ等を扱う方は、「少額だから気にしなくていい」は通用しない領域が広がったとイメージしておくと安全です。
一度、自分の取扱品目の中に「室外機・ヒートポンプ・電線・グレーチング」に当てはまりそうなものがないかチェックしておくと安心です。
参考:警視庁「古物営業法施行規則の一部改正について(令和7年10月1日施行)」
主な違反事例とは?
古物商営業においての主な違反事例は、以下のとおりです。
- 無許可で営業 → 懲役・罰金の重い処分
- 本人確認をしなかった → 懲役または罰金
- 台帳を付けない・嘘の記録 → 懲役または罰金
- 不正品の申告を怠った → 懲役または罰金
- 標識を掲げない → 罰金
加えて、営業停止や許可取消しといった行政処分もあります。
- 営業停止:数ヶ月〜
- 許可取消し:その後一定期間は再申請できない
「一度のうっかり」が、数十万円の罰金や、数ヶ月商売ができないリスクに繋がる。だからこそ、毎日の小さなルールを守ることが大切です。
※罰則の詳細は、古物営業法第31条〜第34条および各都道府県警の公式ホームページ等にて古物営業法の罰則内容をご確認ください。
▽「どこまでやれば大丈夫?」よくある実例Q&A
Q1. 個人でメルカリで不用品を売るだけなら、古物商許可は不要?
A. 「自分の不用品」を売るだけなら不要なケースが多いです。
古物商許可が必要になるのは、たとえばこんな場合です。
- 転売目的で中古品を仕入れて売る
- 継続して「買い取って→売る」をビジネスとして行う
クローゼット整理で出てきた服をたまに売る程度なら、古物商許可や古物営業法の義務とは別の話になります。このあたりは、メルカリの詳細ページでも確認ください。
参考:
古物営業法第2条
大阪府警察「古物営業法Q&A」
Q2. 本人確認を拒否されたら、どうしたらいいですか?
A. 本人確認ができない場合は、買取のリスクがあがります。
- 本人確認なしで買い取ると、古物商側が罰則の対象になる
- 本人確認を嫌がる人は、そもそもリスクが高い
「せっかくの高額品だから、ここで逃したくない…」と思う気持ちも分かりますが、その1回が後々の大きなトラブルに繋がる可能性があることも踏まえて、判断する必要があります。
Q3. 古物営業法を守らないと、どのくらいの確率でバレる?
A. 判定の基準は各県の警察署の判断となるため、統計での公表はありません。ただし、
- 盗品が見つかった場合、警察は「どこで売られたか」を辿る
- ネット上の取引も含めて、データ照合の仕組みが整備されている
ことを踏まえると、「警察が来なければバレない」という感覚は、今の時代の運用とはかなりズレていると思っておいたほうが賢明です。
毎日どこまでやればいい?ルールを習慣化するコツ
「全部完璧にやらないとダメ」と思うとハードル高く感じてしまうもの。“まずはここを押さえておくと、大きなトラブルは起きにくい” というルールを習慣化していきましょう。
コツ1:台帳を付ける時間を「毎日同じ」にする
- 毎日20時に「台帳タイム」を10〜15分とる
- スマホのリマインダーでアラームを設定しておく
「時間ができたらやる」から「この時間になったらやる」に変えると、抜け漏れが一気に減ります。
コツ2:本人確認書類のコピーや記録をセットで残す
- 免許証などのコピーを台帳と一緒に保管する
- 画像で管理する場合も、フォルダを分けて整理しておく
後から「あのときの取引は…」となったときに、“すぐに記録が出てくる状態”を作っておくのがポイントです。
コツ3:少しでも「おかしい」と感じたら、時間をおいて確認 or 警察に相談
- 金額や状態が極端にお得 → いったん持ち帰りを提案する
- 不安が消えない → 最寄りの警察署(生活安全課など)に相談
ご自身と自身のお客様を守ることを第一に考えるのであれば、「ラッキー!」よりも「ちょっと怖いな…」を大事にすることも大切です。
古物営業法を守ることは、「自分の商売を守ること」
古物営業法の義務は、慣れるまでは「難しそう」「大変そう」に感じます。
ただ、実務レベルに落とすと、やることはかなりシンプルです。
- 毎日10〜15分の台帳記載
- 1回5分の本人確認
- 「怪しいな」と思ったときの基準を決めておく
これに加えて、2025年10月からは、室外機や電線など一部の品目が「金額に関係なく要本人確認」に変わった、という点を押さえておくと、古物営業法との付き合い方はグッと楽になります。
「今日は疲れたから、台帳は明日でいいや」と思う気持ちは、ごく自然なものです。ただ、その“明日”を何度も積み重ねると、ある日まとめてツケが回ってくる可能性があります。
もし「この書き方で合っているか不安」「自分のルールを一度確認したい」と感じたら、行政書士に1時間だけ相談してみるのも一つの方法です。
書類と格闘する30時間より、安心して商売に集中できる30時間を優先して自分の商売を守っていきましょう。

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