「古物商の許可を取ろう」と決めて警察署のWebサイトを開いたものの、必要書類の多さに圧倒されて、そのままブラウザを閉じてしまった経験はありませんか?
仕事終わりの夜、スマホ片手に「古物商 必要書類」と検索して、同じページを行ったり来たりしている——そんな方が少なくありません。
- 「住民票って、コンビニで取れるの?」
- 「身分証明書って、免許証じゃダメなの?」
- 「法人の場合、役員全員分の書類って本当?」
こうした疑問で手が止まり、気づけば1週間、2週間と時間だけが過ぎてしまう。そんな状態になっていないでしょうか。
古物商許可の申請には、確かに複数の書類が必要です。
しかし、取得の順番と取り方さえ分かれば、迷わずスムーズに揃えられます。
逆に、書類の不備があると、警察署で「これでは受理できません」と言われて出直しになり、申請が2〜3週間遅れることも。書類の不備で余計な時間をロスしないためにも、最初の準備がとても重要です。
本記事では、個人申請・法人申請それぞれで必要な書類を、チェックリスト形式で整理しました。
取得に時間がかかる書類や、つまずきやすいポイントもQ&Aで解説していきます。
ステップ1:まずは「個人」か「法人」かを確認する
古物商許可の申請では、個人事業主として申請するか、法人として申請するかで、必要な書類が大きく変わります。
個人申請が向いているケース
- 個人事業主として開業する
- 副業・小規模で始めたい
- まずは自分一人で始める
法人申請が向いているケース
- すでに法人を設立している
- 複数人で事業を行う
- 将来的に事業拡大を考えている
「とりあえず個人で始めて、後から法人化すればいいか」と思う方もいますが、法人化したときには、改めて法人として古物商許可の申請が必要になります。
どちらで申請するか迷う場合は、手続きや今後の事業計画も含めて、いちど行政書士などの専門家に相談してみると安心です。
個人でも法人でも、申請手数料は19,000円で共通です。費用面の差はなく、変わるのは「必要書類の数」と「準備の手間」です。
ステップ2:個人申請の必要書類チェックリスト
個人事業主として古物商許可を申請する場合の必要書類は、次の通りです。
□ 古物商許可申請書(様式第1号その1)
- 警察署窓口または都道府県警のWebサイトから入手
- 記載例を見ながら記入
□ 住民票の写し
- 本籍地記載あり、マイナンバー記載なし
- 発行から3ヶ月以内のもの
□ 身分証明書
- 運転免許証やマイナンバーカードとは別物
- 取得場所:本籍地の市区町村役場のみ(本籍地が遠い場合:郵送請求で1週間〜10日)
□ 略歴書
- 直近5年間の職歴を記載
- 書式は警察署で入手、または都道府県警のサイトからダウンロード
□ 誓約書
- 欠格事由に該当しないことを誓約する書類
- 書式は警察署で入手、または都道府県警のサイトからダウンロード
□ URLの使用権限があることを疎明する資料(ホームページで営業する場合)
- ドメイン登録証明書、サーバー契約書、プロバイダからの資料など
- ECサイトが未開設の場合は、許可取得後にURL届出をすることも多い
参考:警視庁「古物商許可申請」
実際の申請では、これらの書類にくわえて「本当にこの住所で営業するのか」を示す資料を求められることがあります。たとえば、営業所の賃貸借契約書のコピーや、大家さん・家族からの使用承諾書などです。こうした追加書類が必要かどうかは、都道府県ごとに運用が分かれるため、管轄の警察署のホームページなどで確認するのがスムーズです。
ステップ3:法人申請の必要書類チェックリスト
法人として古物商許可を申請する場合、個人申請の書類に加えて、役員全員分の書類が必要になります。
□ 古物商許可申請書(様式第1号その1)
- 法人用の書式を使用
□ 法人の登記事項証明書
- 発行から3ヶ月以内のもの
- 取得場所:法務局(窓口またはオンライン請求)
□ 法人の定款のコピー
- 公証役場で認証済みのもの
法人の場合、取締役・監査役などすべての役員について、以下の書類が必要です。
- 住民票の写し(本籍地記載あり、マイナンバー記載なし/発行から3ヶ月以内)
- 身分証明書(各役員の本籍地で取得/発行から3ヶ月以内)
- 略歴書(直近5年間の職歴)
- 誓約書(押印が必要)
□ URLの使用権限があることを疎明する資料(ホームページで営業する場合)
- ドメイン登録証明書、サーバー契約書、プロバイダからの資料など
- ECサイトが未開設の場合は、許可取得後にURL届出をすることも多い
参考:警視庁「古物商許可申請」
▽「書類準備で一番時間がかかるのはどれ?」よくある実例Q&A
Q. 身分証明書って、運転免許証じゃダメなんですか?どこで取れますか?
警視庁の「古物商許可申請」も記載があるとおり、ここでいう身分証明書とは、本籍地のある市区町村から交付される書類を指します。つまり、運転免許証やマイナンバーカードとはまったく別の公的書類です。
また、身分証明書は取得に時間がかかる場合があるため、優先的に準備を始めるべき書類といえます。とくに本籍地が遠方にある方は、早めに郵送請求の段取りだけでも進めておくと安心です。
Q. 書類準備を全部自分でやると、どれくらい時間がかかりますか?
書類準備を一から自分で行う場合、個人差がありますがトータルで20〜30時間かかると考えておくとよいです。
▽具体的な作業時間の内訳(目安)
| 作業内容 | 所要時間 |
| 必要書類の調査 | 2〜3時間 |
| 身分証明書の郵送請求準備 | 1時間 |
| 住民票の取得 | 30分〜1時間 |
| 略歴書・誓約書の作成 | 1〜2時間 |
| 営業所関連書類の準備 | 2〜5時間(交渉含む) |
| 申請書の記入 | 2〜3時間 |
| 警察署への移動・提出 | 1〜2時間 |
| 合計 | 20〜30時間 |
法人の場合、役員が多いとさらに時間がかかります。
生活時間で考えると…
- 平日の夜2時間ずつ作業:2〜3週間
- 休日にまとめて作業:土日2〜3回分
「仕事終わりに毎晩2時間、書類と格闘する日々が2週間続く」イメージです。
書類準備のコツと注意点
書類準備をスムーズに進めるためのポイントをまとめます。
①時間がかかる書類から準備する
優先順位の目安:
- 身分証明書(遠方本籍なら郵送で1週間以上)
- 営業所の賃貸借契約書・承諾書(交渉が必要な場合)
- 住民票・登記事項証明書(有効期限3ヶ月なので最後に)
② 押印忘れに注意
提出前に「全書類に押印されているか」を一度チェックしましょう。誓約書、使用承諾書など、押印が必要な書類が複数あります。
③都道府県警によって書式が異なることもあり
- 警視庁(東京)と他の県警では書式や必要書類が異なる場合があります。
- 必ず管轄警察署のWebサイトから最新の様式をダウンロードしてください。
安心して事業をスタートするために
書類の取得には時間がかかるものもあり、特に身分証明書(遠方本籍の場合)は早めの準備が必須です。また、有効期限のある書類もあるため、取得の順番を工夫することで、ムダなく進められます。一方で、
- 書類準備や記入に不安がある場合
- 法人で役員が多い場合
- 時間のロスをできるだけ避けたい場合
には、行政書士に相談することも有効な選択肢です。ぜひ、ご自身の状況に合わせて、無理のないやり方で古物商許可の取得を進めてください。

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